【2024年版】ヨーロッパの医学部ランキングを3つの世界大学ランキングで徹底比較【トップ50大学】

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mirunoteチューターの代表として、20名以上の医学部留学をサポートしてきました。イタリア医学部、チェコ医学部、スロバキア医学部の合格実績あり。プロフィールはこちら

海外医学部がメジャーな選択肢の1つになってきた昨今、ヨーロッパの医学部留学を考える方も増えてきています。

とはいえ、ヨーロッパの医学部と漠然と言われても、具体的に「どのような大学があるのか?」「医学部留学する際のメリット・デメリットは何なのか?」はよく分からないでしょう。

本記事では、ヨーロッパの医学部ランキングと進学する際のメリット・デメリットを解説します。現役の海外医学部生の視点で忖度なしでメリット・デメリットをレビューしていますので、最後までお読みください。

目次

世界大学ランキングとは?

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世界大学ランキングとは、大学の教育や研究の質、国際的な評価を比較するために作成されたもので、大学のレベルを評価する際に活用されます。

特に、QS世界大学ランキング、THE世界大学ランキング、世界学術大学ランキングの3つが有名で、どのランキングも総合ランキングのほか、分野別のランキング(医学分野)も作成されています。

それぞれの分野別の世界大学ランキングの特徴は、次のとおりです。

QS世界大学ランキング(医学)

  • イギリスの教育専門誌のQuacquarelli Symondsが発表している大学ランキング
  • 学術的評判、雇用主の評判、論文ごとの引用、H指数、国際研究ネットワークの指標を利用して、ランキングが作成されている

THE世界大学ランキング(医学・歯学)

  • イギリスの教育専門誌のTimes Higher Educationが発表している大学ランキング
  • 教育(学習環境)、研究環境、研究の質、国際性、産業の指標を利用して、ランキングが作成されている

世界学術大学ランキング(臨床医学)

  • 中国の上海交通大学が発表している大学ランキング
  • ノーベル賞・フィールズ賞受賞者数、論文引用数、主要学術誌掲載数など、研究に重点を置いた指標を多く活用している

それぞれの世界大学ランキングで、評価指標やそれぞれの重み付けが異なるため、ランキングの順位は大きく変動します(※ 詳細は後述します)。

どのランキングでも北米やイギリスをはじめとするヨーロッパの名門大学が上位を占めており、最近では、中国、日本やシンガポールなどのアジア勢も多くランクインするようになりました。

それぞれの世界大学ランキングの指標と特徴は、下記記事で解説します。

あくまでも世界大学ランキングは、大学を評価する1つの指標にすぎないため、このランキングだけで大学の”良さ”を判断できない点は注意してください。

ヨーロッパの医学部ランキング上位50大学

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QS世界大学ランキング2024年版のMedicine(医学)の分野別ランキングをもとに、ヨーロッパにあるトップ50校の所在地(国・地域)、それぞれの大学の世界ランキングと英語コースのある医学部をまとめました。

それぞれの世界大学ランキングの順位は、次のとおりです。

QS世界大学ランキングのTOP50位以内にランクインしていない大学は、他のランキングで上位50位以内に順位付けされいる場合でも省略しました。

国・地域QS世界大学ランキングTHE世界大学ランキング世界学術大学ランキング英語コースのある医学部
オックスフォード大学イギリス2位1位6位
ケンブリッジ大学イギリス5位3位3位
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)イギリス6位7位15位
カロリンスカ研究所スウェーデン7位16位32位
インペリアル・カレッジ・ロンドンイギリス8位4位7位
キングス・カレッジ・ロンドンイギリス13位13位26位
エディンバラ大学イギリス22位23位42位
ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(LSHTM)イギリス24位50位
アムステルダム大学オランダ29位46位33位
マンチェスター大学イギリス30位49位51-75位
ハイデルベルク大学ドイツ31位35位18位
ルーベン・カトリック大学ベルギー33位42位49位
ミュンヘン・ルートヴィヒ=マクシミリアン大学(LMU)ドイツ38位50位
ソルボンヌ大学フランス38位78位44位
エラスムス・ロッテルダム大学オランダ40位47位46位
バルセロナ大学スペイン48位76位45位
グラスゴー大学イギリス48位53位29位
コペンハーゲン大学デンマーク52位64位37位
チューリッヒ大学スイス55位60位101-150位
ロンドン大学クイーン・メアリー校イギリス57位24位151-200位
ユトレヒト大学オランダ58位51-75位
ウィーン医科大学オーストリア60位95位76-100位
スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH)スイス61位51位
ライデン大学オランダ61位62位76-100位
ブリストル大学イギリス68位59位51-75位
バーミンガム大学イギリス69位74位51-75位
ミュンヘン工科大学ドイツ72位65位101−150位
リバプール大学イギリス72位101-125位76-100位
オスロ大学ノルウェー76位126-150位51-75位
マーストリヒト大学オランダ77位55位101-150位
トリニティ・カレッジ・ダブリンアイルランド78位126-150位201-300位
シャリテー – ベルリン医科大学ドイツ79位27位
ミラノ大学イタリア80位126-150位101-150位
サウサンプトン大学イギリス81位101-125位76-100位
ニューカッスル大学イギリス82位93位76-100位
フローニンゲン大学オランダ83位61位51-75位
ボローニャ大学イタリア87位101-125位101-150位
ルンド大学スウェーデン89位84位101-150位
ノッティンガム大学イギリス89位77位22位
ローマ・ラ・サピエンツァ大学イタリア92位201-250位101-150位
ベルン大学スイス94位70位76-100位
ウプサラ大学スウェーデン96位101-125位101-150位
アムステルダム自由大学オランダ98位88位76-100位
ヨーテボリ大学スウェーデン100位101-125位101-150位
パリ=サクレ大学フランス102位101-125位51-75位
ラドバウド大学オランダ104位101-125位101-150位
リーズ大学イギリス106位126-150位101-150位
ゲント大学ベルギー108位97位101-159位
ジュネーヴ大学スイス110位126-150位101-150位
ヘルシンキ大学フィンランド112位101-125位76-100位

出典:QS World University Rankings by Subject 2024: Medicine, World University Rankings 2024 by subject: clinical and health, 2023 Global Ranking of Academic Subjects(Clinical Medicine)(以下、出典は同じ)

上記のように、大学ランキングごとに順位は大幅に異なります。前述のとおり、各ランキングごとに採用している指標やスコアの重み付けが異なるため、その影響を色濃く反映しており、1つのランキングを鵜呑みにするのは危険です。

とはいえ、上位を占める大学はどのランキングもほとんど同じで、イギリスが最も多く、名門大学として知られるオックスフォード大学やケンブリッジ大学や、スウェーデンのカロリンスカ研究所などが独占しています。

英語コースのある医学部では、イギリス、イタリア、アイルランドの医学部がランクインしており、イタリアのみが留学生のために英語コースを開設しています(イタリア以外は英語が公用語なため、留学生向けのコースではありません)。

【参考】日本の医学部の世界大学ランキング

tim gouw ScWvHUtQca4 unsplash

QS世界大学ランキング2024年版のMedicine(医学)の分野別ランキングをもとに、上位6大学の他の世界大学ランキングの順位をまとめました。

大学名QS世界大学ランキングTHE世界大学ランキング世界学術大学ランキング
東京大学42位30位201-300位
京都大学65位48位301-400位
大阪大学112位80位401-500位
東京医科歯科大学128位151-175位
慶應大学165位201-250位401-500位
東北大学167位126-150位

日本の順位が低い理由は複数の要因がありますが、よく取り上げられるのは、地理的・言語的なハンデを背負っており、「論文の被引用件数」が少ないというものです。

とはいえ、香港や中国の大学が上位にランクインしている事実を踏まえると、原因はそれだけではなく、大学の国際化や研究者の不足など、より根深い問題が絡んでいると考えられます。

あくまで、世界大学ランキングは大学を評価する際の指標の1つに過ぎないので、順位がたとえ低くとも、大学の優劣を決めることにはなりません。

英語コースをもつ海外医学部の受験情報

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世界大学ランキングのトップ50大学に複数校がランクインした国で、医学部英語コースをもつイギリスとイタリアの医学部の受験事情を簡潔にまとめました。

イギリスもイタリアもどちらも英語で医学部の医学部のコースを開設しています。どちらも世界各国から学生が集まり、医学を学んでいます。

それぞれの国の医学部の受験情報を簡単に紹介します。

イギリスの医学部の場合

イギリスでは医学部に出願する際に、生物や化学などでAレベル、もしくはIB(国際バカロレア)で高スコアを取得する必要となります。

また、他にもIELTSのアカデミック・モジュールで7.0程度が求められ、大学によっては筆記試験のほか、面接試験が課されている大学もあります。

そのため、日本の一般的な高校を卒業した場合、受験するハードルが高くなり、海外医学部の進学先としてはあまり一般的ではありません。

イタリアの医学部の場合

近年人気になっているイタリア医学部は、出願条件は高校卒業レベルであることと、IELTS 5.5以上を取得していることを条件にしている大学がほとんどです。

一部の私立医学部を除いて、試験は筆記試験(マークシート式)のみで、オンライン受験が可能な場合もあります。出願もオンラインでできるため、私立医学部のほとんどでは、自宅にいながら、医学部の合格を目指せます。

国立医学部は学費の安さが有名で、年間で20万円〜80万円ほどの学費で医学部に通えることが最大のメリットです。また、国籍や世帯年収によっては、さらに学費が安くなる可能性もあります。

イギリスと比較して、学費の安さと出願条件の緩さが人気の秘訣となっています。

ヨーロッパの医学部に進学するメリット3選

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まずは、ヨーロッパ(特にEU)の医学部へ進学するメリットを現役のイタリア医学部生の視点で3つ紹介します。

海外医学部に進学するメリット
  1. EUの医師免許が取得できる
  2. 学費が日本の大学より安い
  3. 入試が簡単で合格しやすい

それぞれのメリットを簡潔に解説します。

1. EUの医師免許が取得できる

EU加盟国の医学部を卒業すると、EUで通用する医師免許を取得できます。ヨーロッパで将来的に働きたい、もしくはEUで働きたい国がある場合は、EUの医学部に進学することは、非常に大きなメリットです。

日本の医学部を卒業しても、EUの医師免許を取得することはできないため、将来EUで医師として働きたいなら、ヨーロッパの医学部を目指した方が良いでしょう。

2. 学費が日本の大学より安い

ハンガリーやチェコ、ルーマニアなどの東欧医学部は、日本の私立医学部より若干安く、イタリア国立医学部は日本の国立医学部と同程度となっています。

日本の私立医学部に進学するより、ヨーロッパの医学部に進学した方が、学費が安い場合も多く、特にイタリア国立医学部の場合はイタリアでの滞在費を含めても、私立医学部より費用を抑えることが可能です。

3. 入試が簡単で合格しやすい

日本の医学部入試と比べると、EUの医学部の入試はそこまで難しくはありません。とはいえ、近年人気となっているイタリア国立医学部入試(IMAT)は年々、難易度が上昇しており、イタリア医学部に特化した入試対策をしないと、合格は難しいです。

とはいえイタリア医学部を除けば、東欧医学部は入試が簡単で、ルーマニアの医学部などは、大学によっては入試がない大学もあります。

入試が苦手な方や日本の医学部入試になかなか合格できない場合は、大きなメリットと言えるでしょう。

ヨーロッパの医学部に進学するデメリット3選

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まずは、ヨーロッパ(特にEU)の医学部へ進学するデメリットを現役のイタリア医学部生の視点で3つ紹介します。

海外医学部に進学するデメリット
  1. 卒業するのが難しい
  2. 留学当初は生活に慣れるのが大変
  3. 現地語を習得する必要がある

それぞれのデメリットを簡潔に解説します。

1. 卒業するのが難しい

ヨーロッパの医学部は、日本の医学部と比べて、進級率や卒業率が低い傾向にあります。日本の医学部とは異なり、ヨーロッパのほとんどの医学部が卒業率を公表していないため、実際のデータを確認することはできません。

よく言われるのは、海外医学部に入学する日本人医学生のうち、退学するのが約3分の1、留年するのが約3分の1、6年間で卒業するのが約3分の1です。

国や大学ごとによって大きく異なるため、この大まかなデータの真偽は否定も肯定もできませんが、日本の医学部よりは卒業が難しいことは覚えておいた方が良いでしょう。ちなみにイタリア医学部の卒業率は、東欧医学部よりは高いです。

2. 留学のはじめは生活に慣れるのが大変

海外での、特にヨーロッパでの生活は思っているより過酷なものです。現地での生活に慣れるまでは、相当なストレスを感じますし、日本の常識が通じない・日本では起こり得ないトラブルに巻き込まれるケースも多いです。

私自身、19歳の時からヨーロッパにいますが、最初はとにかく生活に慣れるのに苦労しました。当時、私が留学した街はほとんど英語が通じず、買い物をするのも一苦労でした。コンビニや自販機はもちろんありません。娯楽も日本(特に東京)と比べれば、圧倒的に少ない…

いずれは慣れますが、最初は修行かのような生活が待っています。日本食が食べられると泣いて感動できるくらいには追い込まれていました。

とはいえ、最近の海外医学部は誰かしら日本人がすでに在籍していることも多いので、留学生活での不安や困ったことは遠慮なく相談すれば良いでしょう。

3. 現地語を習得する必要がある

ヨーロッパの医学部では、臨床実習をする際に現地語を利用する必要があります。臨床実習では患者さんと教授のやりとりを見たり、参加したりするため、その国の現地語の習得が必要不可欠です。

求められるレベルは大学により異なりますが、CEFR対照表でB1〜B2程度の言語力が必要となります。基本的に、低学年で現地語を学ぶ授業があると思うので、そこまで心配する必要はありませんが、言語を習得するのが苦手な場合は、デメリットになり得ます。

イタリア医学部を本気で目指すなら、mirunoteチューターを利用しよう

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イタリア医学部入試は、近年人気が急上昇中であり、特にイタリア国立医学部入試(IMAT)の難易度が上昇しています。海外医学部の入試は簡単と言われますが、効率的な入試対策をしなければ、一発合格が難しくなっているのが現状です

実際、イタリア国立医学部入試(IMAT)を受験した50%以上の日本人受験生が不合格になっています(2023年度のデータより分析)。

日本の医学部入試と比べ、難易度が低いにも関わらず、不合格率が高いのは、イタリア医学部入試特有の問題に慣れておらず、対策が不十分だったことが原因であると考えられます。

mirunoteチューターでは、上位合格者の勉強法を徹底的に分析し、イタリア医学部に上位合格した医学生のみを講師として採用しているので、イタリア医学部に特化した入試対策が可能です。

イタリア医学部入試を知り尽くした医学生がマンツーマンで指導するため、苦手分野の克服だけでなく、入試を解く際の必須知識や典型問題の解法パターンの習得など、イタリア医学部の入試対策を効率的に行うことができます

また、独学では疎かにしがちなスケジュール管理も含め、生徒様一人一人に合わせたカリキュラムを作成し、英語対策などを含め、医学部入試に必要な指導をお任せいただけます。

イタリア医学部の上位合格者による授業を受けたい方は、オンライン相談またはオンライン家庭教師をお申し込みください。

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